2020年4月1日賃貸の民法が変わりました。
賃貸の民法が1896年(明治29)年に作られてから、今頃になって大きく変わろうとしています。
借り主側に関わる条項では、主に、次のような項目で大幅な改訂が予定されている。
①敷金と借り主の原状回復義務について
②賃貸住宅の修繕について
③賃貸住宅が一部または全部滅失した場合の対応について
④連帯保証人について※連帯保証人はなくなり保証会社利用必須になります。
①敷金と借り主の原状回復義務について
敷金をめぐるトラブルが相次ぎ、国民生活センターによると「賃貸アパートを退去したが敷金をなかなか返してくれない」といった相談件数が1万3178件(2017年度)に達しています。
今回の民法改正により、法律で「敷金」の定義とルールが明確になり、地域によって異なっていた呼び名(関西では保証金)も統一されます。
「借り主が部屋を適法に引き渡したとき、貸し主(大家)は敷金を返還しなければならない。」と法律で明文化されます。
ただし、借り主に家賃滞納などがあった場合に貸主は敷金を充てることができる。
借り主が、普通に生活して生じた傷や汚れは貸し主負担となるため、敷金からはその復旧費を差し引けません。
敷金ガイドラインにて、退去清算を必ずしなければならない
いくつかわかりやすく説明して行きます。
①建物価値の減少の考え方
・退去時の原状回復について考える際に、退去するまでの間に建物価値がどれくらい減少したか、どうして減少したかを整理することが重要です。ガイドラインでは貸主と借主の費用負担について、次のように整理しています。
■貸主の費用負担
・賃貸住宅の契約においては、経年変化及び通常の使用による損耗・キズ等の修繕費は、家賃に含まれているとされており、貸主が費用を負担するのが原則です。
※例えば・・・
壁に貼ったポスターや絵画の跡、家具の設置によるカーペットのへこみ、日照等による畳やクロスの変色
■借主の費用負担
・借主の責任によって生じた、または故障や不具合を放置したことにより発生・拡大した汚れやキズについては、借主が負担するのが原則です。
※例えば・・・
タバコによる畳の焼け焦げ、引越し作業で生じた引っかきキズ、借主が結露を放置したために拡大したシミやカビなど
■経過年数の考え方
・借主は、故意・過失、善管注意義務違反などによる損耗等で、借主の負担で原状回復すべきとされている場合でも、全額を負担しなければならないわけではありません。
このような破損部分も経年変化・通常損耗をしており、その分の経費は貸主の負担とするのが原則です。
■借主の負担割合
・原状回復の費用の負担は、破損部分の補修工事に必要な施工の最小単位に限定されます。
※例えば・・・
壁(クロス)は、原則m2単位。経過年数を考慮し負担割合を算定します。
畳は原則1枚単位。ただし、経過年数は考慮しません。
■特約
・貸主と借主の合意により、原則と異なる特約を定めることができます。これは、民法では「契約自由の原則」が基本とされているため、契約内容は、原則として当事者間で自由に決めることができることによります。ただし、通常の原状回復義務を超えた負担を借主に課す特約は、内容によっては無効とされることがあります。
②賃貸住宅の修繕について
貸し主は、賃貸住宅の修繕をしないとならないが、借り主に責任がある要因で修繕が必要になった場合は、借り主が修繕の費用を負担する。
貸し主に通知後、貸し主が必要な修繕を引き延ばした場合は、借主が修繕をすることができる。その際の費用は、貸主が負担する。
③賃貸物の一部滅失等の場合の賃料の減額
設備等に不具合があり、予定どおりの使用ができなかった場合、その程度に応じて家賃減額になるというものです。
現行民法では「賃料減額請求権の発生」ですが、改正後は「当然に家賃減額」となります。

①敷金と借り主の原状回復義務について
②賃貸住宅の修繕について
③賃貸住宅が一部または全部滅失した場合の対応について
関連書類 検索結果 ウェブ検索結果 民間賃貸住宅に関する相談対応事例集 – 国土交通省
各協会等
■法務省 2020年4月1日から – 法務省 資料
■国土交通省 民法改姓賃貸借トラブルに係る相談対応研究会。民間賃貸住宅に関する相談対応事例集 資料
原状回復をめぐるガイドラインについて 資料
■全日本不動産協会 サイト
■全国宅地建物取引業協会
■日管協
■全管協
■国民生活センター 資料
記事等
■大和財託社長 藤原 正明 民法改正ブログ 記事
■民法改正YouTube 動画
■日管協理事 関輝夫 民法改正による不動産業への影響 記事
■弁護士法人 咲くやこの花法律事務所 民法改正の不動産賃貸実務への4つの影響と賃貸借契約書の見直し方法 記事